うんざりブログ

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インスタグラムまとめ4

 

チー牛

「メガネ」「オタク」「非リア」「キモオタ」「インキャ」
 これはすべて僕を呼称してきた言葉だ。正確には僕のような人間を呼称するような言葉だった。誰かがこれらの言葉を用いて僕を呼称する時、そこに「僕」という「個」は存在していない。それは「僕のよう」な概念を指し示しているのだ。違った見方をすれば「かよう」な概念に適合する人間が僕であるとも言える。とにかく僕は「僕」ではなくて「気持ち悪い存在」だった。
 僕への蔑称の変化は僕自身ではなくて世間で用いられる言葉の変化が原因だった。カースト下位の存在を揶揄する言葉がアップデートされれば、僕の呼び方もそれに応じる。至極当然のわかりやすい理屈だった。そしてこのたび数年ぶりに僕の呼び名が更新されることになった。ネットミームを発祥とした「チー牛」である。
 実のところ僕はこの呼び方にはあまりピンときていなかった。なぜならばチーズ牛丼がそんなに好きではないからだ。もちろんそんな指摘が本質的でないことも十分に理解している。世間は僕がチーズ牛丼の特盛を食べているかに関心などなく、ただ食べていそうという雰囲気で認識しているようである。それだけで十分であり、めでたく僕は「チー牛」の資格を手に入れるというわけである。そんなことはわかっている。そもそも他者への安易な蔑称というのは、その個人を理解することの拒否だと思うのだ。それは個々人と真摯に向き合い人間性を深く理解しようとするのではなく、いくつかの要素を抱き合わせた概念と対象との間の共通項を見出して粗雑に分類するだけの行為である。
 そしてこれは自分より下級の存在を扱うのにとても良い方法だろう。些末な相手のために大きな労力を消費するのはバカらしいし、またこの行為が事実上マウントをとっているに等しいのだから。
 しかしながら僕はあえて抗うことはしなかった。むしろ流れに身を任せようという気でいたのだった。もはやこの頃ではそんな扱いにも慣れ切っていたし、そもそも僕らと彼らとでは住む世界が違うと思うからだ。お互いの価値観の擦り合わせなど平行線を辿るに等しく、どこまで行っても決して交わることなどありはしない。
「こんな日に女だけとかウチらマジチー牛じゃん!」
 すれ違う爆乳ギャルの言葉に思わず足が止まる。気がつくと拳を固く握っていた。もちろん怒りでぶるぶると震えている。どうしてこいつらは僕たちの世界に土足で踏み込んでくる……?どうして都合のいい時だけそんなに簡単に「僕たち」を名乗ろうとするんだ。お前らの安易なユーモアのために消費される概念の下には死屍累々が眠り、僕のような亡者が数多彷徨っているんだぞ。
 世間の一方的な選別も黙って受け入れてきたが、諦念の末に我が物としたアイデンティティを荒らされることだけは我慢ならなかった。僕は駆け足で牛丼屋に向かい、鼻息荒くチーズ牛丼特盛を注文した。
 くたばれギャル!くたばれ世間!お前らがこんな風に牛丼を食べるか!こんなにも惨めに!こんなにも侘しく!
 丼の半分ほどを一気にかきこむと咀嚼も不十分なまま水で流し込む。添えてあるタバスコをこれでもかと不必要なまでに大量に消費する。いま必要なのはとにかく不健全な刺激だった。
 くそくそくそ!箸の動く速度はどんどんと増していく。とうとう咀嚼の処理能力を超えて溢れ出す。傾けた丼から米がこぼれて落ちていく。滴るタバスコがシャツに赤いシミを作る。それでもまだ足りない。もっと早く!もっと早くだ!もっとーー

 

 

チーズナン(チーン)

 カレー料理屋では必ずチーズナンを注文する。もちろん店によってはメニューにないこともあるだろうが本場の雰囲気を纏った専門店などであれば大抵の場合は用意されている。
 主役のカレーは気分によって食べたいものが変わる。やはり本命はこってりとした甘めのバターチキンカレーだろうか。ゴロゴロとしたひき肉の食感が癖になるキーマカレーも美味しい。ピリリとスパイスの効いた一風変わった見た目のサグカレーも悪くない。メニューを眺めているうちにどんどんと気分が変わっていつも頭を悩ませる。
 ところが主食に関しては即決だ。セットについてくる通常のナンに料金を追加してチーズナンにアップグレードするのだ。ハチミツがついてくるなら尚のこと良い。ナンの切れ目からトロリと垂れ落ちるチーズとドロっとした甘いハチミツを絡ませて食べるのだ。その濃厚で罪深い味わいは一瞬にして口の中を占拠してやがて五感すべてを支配する。もはや夢中になって頬張るほかに選択肢は与えられていない。
 言うまでもなくカレーとの相性は抜群である。カレーの容器にチーズナンを浸すも良し、チーズナンの上にカレーをかけても良し、カレーがチーズナンを後追いして口腔内で邂逅するという反則ギリギリの技もある。いずれにしても到達点は幸福という満ち足りた感情。ただその経路が若干違うだけである。
 なぜかちょっとだけ添えられたライスも嬉しい。やはり日本人であれば米とカレーの共演は見逃せない。人参のドレッシングのかかったサラダが運ばれてくるといよいよ開幕といった感じで全身が高揚感に包まれる。さながらパブロフの犬のように調教されていることに気がつく。もちろんタンドリーチキンは最高の味だ。本当ならこれをオカズに白米を食らいつくしてもおかしくないはずなのだが、それがサイドメニューに落ち着いてるとはどういうことか。そうインドカレーはまさに料理界の銀河系軍団なのである。ナショナルチームの代表選手ですらスタメンから漏れてしまう。飲み物はやはりラッシーだろう。色合い鮮やかなマンゴー味もオススメだが、個人的には純白の輝きで喉を潤したい。そして極めつけはこの謎のシロップに浸された小さなドーナツのようなデザートである。沖縄名物のサーターアンダギーのような見た目のこの料理、地面に落とせば数億匹のアリが群がるほど甘い。十歳程度の子どもが口にすれば間違いなくその日のうちに齲歯が発生するだろう。さらに小さな幼児にに食べさせればそれは当然のことながら重大な犯罪行為だ。なぜだインド。なぜなんだインド。こんなのさすがの僕でも盛大に持てナマステ(持て余すで)。

 

 

チー牛(デュエル編)

「このデッキの勝ち筋は二つあって一つは唯一のクリーチャーカードであるスプライトのドラゴンを強化して殴り勝つプラン、そしてもう一つは墓地に溜めたインスタントやソーサリーの呪文カードを実験的過負荷によって奇魔トークンへと変換しそれをカタパルトしてほとんどワンキルのような形で試合を終わらせるプラン。その二つのカードをゲームの軸として戦うため双方とのシナジーを持つインスタントとソーサリーによってデッキの残りを埋めていくことになるのはほとんど必然なのかもしれない。平均コストはわずか2.2で、プレインズウォーカーである王家の跡継ぎを除けばすべてアンコモン以下のレアリティのカードで構成されていることも大きな特徴。もちろん低コストのカードをメインで構築されるデッキの多くは低レアリティ気味になりがちではあるけれどそれにしても完全にレア以上のカードを排除して構成されるというのは非常に珍しい。土地は21枚であり通常より少な目。特殊土地は不詳の安息地と河川滑りの小道が採用されている。不詳の安息地は詰めきれなかった場合の最後の一押しのための火力として有用。基本土地には氷雪土地が採用されている。このデッキでは不詳の安息地と霜噛みが氷雪のシナジーを持つカードだ。霜噛み、焦熱の竜火、雷猛竜の襲撃が火力除去として用いられている。これらのカードにより相手盤面のクリーチャーを捌きつつ墓地にカードを肥やし、ゲーム後半のカタルシスへの用意をしよう。胸躍る可能性と巧みな軍略は共にドロースペルであり手札の質を向上させると同時に墓地にカードを送ることもできる。さらに墓地にある同名のカード枚数分だけ追加でドローを行うことのできる大慌ての棚卸しも非常に有用なカードだ。胸躍る可能性の手札を捨てるデメリットはこのカードを墓地に送ることで低減できるだろう。そしてこのデッキの最大の特徴は二重の一撃を4枚も採用していることだ。二重の一撃は4コスト以下のスペルをコピーできる効果を持ち、このデッキにおいてはすべてのスペルがその対象となり得る。ドローの効果を倍加しても良いし、除去呪文をコピーして相手盤面を一層しても良いだろう。状況に応じて柔軟な対応ができるのがこのカードの魅力だ。そしてこの効果が最も強力に働くカードがクリーチャーの攻撃力を倍増させる憤激解放だ。対象のクリーチャーのパワーを4倍にするという恐ろしい効果は、スプライトのドラゴンを召喚したターンに最低12点の火力に変換してしまう。これをカズールの憤怒で投げ飛ばせばワンキルの完成というわけ。そしてそれは決して可能性のほとんどない夢物語というわけではない。豊富なドロー操作を行えるこのデッキでは十分に実用の範囲だ。もちろん実験的過負荷により生み出した強力な奇魔トークンを、実験的過負荷により墓地より釣り上げたカードで強化したり投げ飛ばすといった動きも出来る。ゲーム中盤であれば火力呪文を呼び込み相手の攻撃を遅らせることも可能であり、攻守両面に対応可能だ。サイドボードは打ち消し呪文を中心に採用している。相手がコントロールやランプといった低速のデッキであった場合は一枚のカードを通すことが致命的となるため赤の火力カードの代わりに青の打ち消しカードでその存在すらを根本から否定しまう方が良いだろう。またコントロール対面で火力呪文を使用する場合には直接顔面を狙うことのできるショックのようなカードのほうが好ましい。そしてこのリストで見逃せないのが影槍を採用していることだ。強力なアーティファクトで知られるこの無色カードは星界の大蛇、コーマのような打ち消しにも火力にも対応してくる厄介な相手に無理やり弱点を作り出すことができる。決してメインから投入すべきではないが、もしも二戦目以降にこのカードが飛び出してきたら相手はきっと眼を剥くに違いない。さてここまでデッキの内容の解説をしてきたけれどこのデッキの明確な弱点は墓地対策をされてしまうことだ。軟泥漁りのようなカードであれば早い段階の除去で対応できるが、エルズペスの悪夢のように墓地全体を追放してしまうようなカードにはお手上げする他にない。だいたいこんな感じだけど他に質問ある?」
『ううん大丈夫』